THE REVIEW OF THIS MONTH 2005.12〜  BLOGからの転載

VIXEN
TO/DIE/FOR ALL ETERNITY

 1988年、NWOBHMのブームの中、女性ばかりのバンド、それも美女ぞろいのメタルバンドということで話題になったそうだ。私は全くの初聴。ただ、3曲目のCRY'INだけは聴いたことがある。メタルバラードのCDの中に入っていた。ジェフパリスの作品だそうだが、はっきり言って、この曲が突出している。サウンド的には、QUEENの影響が感じられる。ギターの使い方や音にそれを感じる。ボーカルの声は、パットベネターを思い起こす。ただ、パットベネターと比べるとギターが、その切れ味が落ちる。ニールシェラルドのギターはカッコいいなと思えるが、ヴィクセンの方は格別ではない。しかし、それぞれの曲でそれなりに聴かせてくれてはいる。外部ライターを導入してそれなりの曲を集めて作った作品で、悪くはないが、ぜひとも聴いた方がいいと言えるレベルの高さの作品ではない。まずまずかな、メロハファンなら機会があれば聴いてもいいかなという感じである。パットベネターなんかは、初期の作品は必聴だと思うが、このVIXENは・・・。88点

 トゥー/ダイ/フォーのデビューアルバム。フィンランド出身のメロディアスハード・ロック・バンドと帯のたたきにはあるが、やはりゴシックメタルという表現の方がぴったりだろう。私はゴスメタルを殆ど聴かないので、この手の音楽がストライクゾーンのど真ん中ということはありえない。がしかし、ラスムスなんかはゴシックメタルであろうが、聴ける。ストライクである。ずっと一度聴いてみたいと思っていたのが、本作だ。なんとももの寂しげなメロディと気だるげなボーカルにキーボード系の味のあるアレンジが非常に面白い。アメリカ、ブリティッシュ、ジャーマンあたりでは絶対に聴かれない雰囲気だ。ある意味、非常にダークで寒々しい。サウンド的には、ギターリフの音がザクザクのワンパターンでシンプルなんだけど、曲ごとにキーボード系の味付けに変化があって、それが凄いと思える。スピードメタル、スラッシュメタル、デスメタルなんかよりは私には遥かによい。しかし、好んで聴きたいと思えるサウンドではない。よほどメロディーの質がよくなくては厳しい。こういう雰囲気のサウンドを好んで聴く人もたくさんいるんだなって感心してしまう。恐らく、ラスムスの方はボーカルの声がGOODだったけど、こちらの男っぽいというか低音を中心とした歌い方が私には今一だ。雪が降りしきる寒々しい日に聴くとぴったりだけど、太陽の出ている日差しの暖かい日に聴くような音楽じゃない。やはり寒いフィンランドの気候に合った音楽だ。91点

CAUTERIZE/SO FAR FROM REAL
METROPOLIS/THE POWER OF THE NIGHT
 いしわんさんのサイトで紹介されていた作品だ。私は、パンクロックという言葉を目にしただけでまずパスである。受け付けない。試しに聴いた「so long,astoria」THE ATARISは、結構よかった。バステドもまあまあ聴けた。ただ、積極的に聴こうと思えるほどFITしてはいない。で、過日韓国からの輸入盤コーナーを見ていたらいしわんさんのサイトにあった表記のCDがあった。何と500円という安価であったので、購入した。ノリのよい元気なナンバーが次々に流れてくる。私が平素好んで聴くメロハとはちょっと違う。まずは、ドラムの音が気になる。ポコポコで、予算が少なくプロダクションがきちんとなされてないメロハ作品のように聴こえる。メロディーは不快な感じではない。テンポのよい作品が多く、私的にはスローなバラード系がこれに3曲ほど入っていると安らぎながら聴ける。ちょっと忙しいかな。ボーカルの声もやはり若いなって思う。パンクロックといっても、要するに演奏の装飾を極力削り生の音を中心に演奏しているという感じだ。こういうのをカッコいいと感じられる感性は、今の私にはない。落ち着かない。アタリスには、もう少しスローなナンバーが混ざっていた。その分、私にもGOODだったのだと思う。86点

 カナダのスタンマイズナーのプロジェクト。彼は、ソロでもAORハードの名盤を幾つか発表している。本作は、もう何年も前にZENOさんにお世話になってgetした作品だ。日本盤は、夜の都会のジャケットだが、輸入盤はビルの窓?のようで今一ぱっとしない。過日、日本盤を持っているのを忘れていて輸入盤を購入してしまった。折角なので、懐かしいメトロポリスを何回か聴いている。最近このタイプの作品を聴かないなって思う。ある意味新鮮である。AOR系なんだけど、コーラスを多用したAORでもないし、演奏がTOTO系でもない。バラードが中心のボーカルナンバーでもない。メトロポリス(STAN MEISSNERもそうだけど)は、AORだけどメロハ的な要素をとりいている。まあ、変な表現だが「おじさん的メロディアスAOR」かな。北欧,US、ジャーマン系とはやはり雰囲気が全く違う。アメリカともまた違うが、どちらかと言えば、アメリカ的なのかもしれない。新しいアルバムではないし、マイズナーも若くはないので、モダンな音づくりをしていない。私のような中年の聴きなれた音、メロディーが主で非常に落ちつく。RESTLESS MOONなんて曲は非常に胸に響く。WHATEVER IT ISもいいな。なんてあげるといい曲が多い。こういう何年も経って聴きなおして気持ちよく聴ける作品が本当にいい作品だ。96点

HUEY LEWIS &NEWS/FORE!
SHAーBOOM/THE RACE IS ON

 ヒューイルイスアンドニュースの大ヒットアルバムだ。1980年代、彼らの音楽がブレイクしたのが私には今一不可解だった。どこがいいのか。どうしてこういう音楽がアメリカでいや全世界で受けるのか。プリンスのアルバムもそうだった。私にはそのよさが分からない馬鹿売れ作品が時々ある。私の感覚だけおかしいんだろうかと思う。この作品には、THE POWER OF LOVEをはじめシングルとしても大ヒットした曲が何曲も入っている。しかし、やはり格別よくは思えない。恐らく、私がカントリー的なものリズム&ブルース的なものがしっくり来ないからなんだろう。この感覚というか感性は、多くの人とは外れているのだろう。89点

 SHAーBOOMと言えば、ハードポップ。FIIIRE-THE BEST OF SHA-BOOM?は、そういう印象だった。ところが、この作品はちょっと違うかな、前半が。頑張ってハードロックしましたって感じである。頑張らなくてもいいのに。勿論、メタルぽくはないのでハードポップと言えなくはない。ベスト盤の曲と比べると当然のことだが斑がある。メロディアスハードのようなきらきらした装飾は少ない。あくまでボーカルナンバーという感じである。ブライアンアダムス、ジョンクーガー的でもある。面白いのは、8曲目だ。MESSAGE OF LOVEは、イントロが完璧ZARDである。でサビからもザードだ。ワンズとザードがやった巨人の応援歌(長島監督も歌った)とそっくりな部分がある。笑ってしまう。私的には、前半より後半の曲の方が好きな感じの曲が多い。前半の数曲が今一さんだけど、全般を通すと素敵なハードポップ作品と言える。93点

GINO VANNELLI/NIGHT WALKER
PINK FLOYD/THE WALL
私は、仕事中にはメロハはあまり聴かない。耳が音に向いてしまい仕事(勉強)に支障をきたすからだ。何を聴くか。AOR系の音楽であることが多い。例えば、ビージーズだったりエアサプライだったりボズスキャッグスだったり。ジノバネリについては、どこかのAORをレビューしておられるサイトで非常に評価が高かったのでいつかは聞いてみたいと思っていた。ただ、AOR系も広く、私的にはAIRPLAYやビルラバウンティーなんてのは今一ストライクゾーンから・・・。だから、期待は半分であった。仕事をしながら何回か流して聴いたが、不思議なことに全くメロディーが残らない。不快感はないが、格別私の胸を刺激するものはない。70年代のアメリカのAORの典型かなという印象である。バックの音は、TOTOやスティーリーダン系のフュージョン的な音ぽいので都会的だ。ボーカルの声は、そう甘くなく、結構情熱的に歌い上げるタイプで、例えばボズやボビーコールドウエルなんかとはちょっと違う。メロディーは、非常にソフトで少しポップできれいだ。格別でない分、飽きないし、仕事の邪魔にならない素晴らしい音楽といえるかも知れない。今年聴いたPLAYERなんかとは全く違う。それは、やはりボーカル作品だということだろう。コーラスは最小限で、ボーカルが歌い上げるスタイルだ。じっくり聴くとまた印象が違うのかもしれない。いずれにせよ、バックグランドミュージック用には非常によい作品である。ただ、8曲しかないのが玉に瑕だ。もう少しあってもいいな、曲が。

1979年、超ロングセラー超大ヒット。狂気につぐ?ピンクフロイドは、レコードを2枚持っていたけ?その一枚がTHE WALL。よく聴いた。ロジャーウオーターズ?デビッドギルモア?凄い人たちなんだって、その当時思った。過日、レンタルショップに行ったら久し振りに聴きたくなって借りてきて聴いている。大雪のこの冬の雰囲気にこれがまたぴったりだ。何とも物寂しいギターの音色。そのほかの演奏も。切ないメロディー。フォークソングのようでもあり、非常に懐かしい。昔聞いた作品で、レコードしかないものって聴きなおすことができないので、こうしてレンタルで聴けるのはありがたい。次は、リンダロンシュタット、カーラボノフ?、暇なときにまた借りてこよう。94点

THE BEST OF PRISM BAD HABIT/HERE − SAY

 1970年代の後半から1980年代にかけてのアルバムのベスト盤。カナダのプリズム。当時私はヒット作品は聴いていたので、恐らくメジャーな存在ではなかったのだろう。当時、カナダといえば、ラバーボーイやらラッシュやらブライアンアダムスなんかが全米に進出していたころだ。さて、本作品だが、メロハ、産業ロックを守備範囲にする人なら十二分に楽しめる。印象としては、ステックス+BOSTON+スターシップって感じだろうか。ハードポップ的でもある。兎に角、メロディーがポップで一緒に口ずさむのにぴたりだ。ただ、ただ音が古いし、音は今一の音圧で?ではある。そうした面を除けば、素晴らしい作品だ。92点

 BAD HABITの新作、これはいい。確かに少しハードでダークなギターが目立つ曲があったりするが、メロディーは正にBAD HABITだ。2作目のレボリューションに近いかななんて感じを当初はもったが、撤回。ADULT ORIENTATIONに近い。1曲目のTO LOVE YOUなど、ギター音が少しハードになっているが、北欧爽やか系の曲だ。バックスフィーリングの声は、哀愁味があり、刹那く爽やかなBAD HABITの曲にぴったりだ。3曲目ALL THAT I WANTなどは、完璧に前作風。素晴らしいとしか言いようがない。胸を締め付ける。私的に言えば、こういうギター・キーボードの使い方がBAD HABITのよさだ。ギターは頑張らなくていい。そういうのは他のバンドに任せれば。とんで7曲目I WANT TO KNOW、9曲目TELL ME WHY、12曲目THE AIR THAT I BREATHなどが同系列の素晴らしい曲群である。13曲目のHERE I AMはバラードなんだけど、この曲が一番いいかななんて思ってしまう。他の曲もメロディー自体はいいんだけど、イントロでやたらリズムを重くしたり、ギターがきばってみたり、そういうのが私的には不満なんだな。後、リズム隊の音が、特にドラムの音がポップスのように平板というか弱い。そうした点も不満。しかしながら、これだけの曲を聴かせてくれたんだから、ぜひ今後も活動を続けてほしいものだ。これだけのバンドはそうそういない。96点