2006.5 review

□ TERRA NOVA/ESCAPE
 
オランダ産のメロディアスハードバンド”テラノバ”の復活作品。通産4作目になるだろうか。6年位前、テラノバを解散し、アクイラなんてバンドをつくったフレッドであるが、今一魅力に欠けた。テラノバの音は、やはり甘めのキーボードきらきらのポップなメロハである。この聴き易い音楽は、他のバンドで○○似と表現するのが難しい。ありそうでない。だからこそテラノバの存在価値があるのだ。さて、本作は、本来のテラノバの世界を堪能できる。あのポップで軽めの心地よいメロハサウンドである。これぞ、テラノバという感じである。ただ、キラーチューンが見当たらないのがちょっと残念である。ないが、ないと思えるくらいどの曲もレベルが高い。それと、やはりこのドラムの音はいただけない。ぽこぽこ音なのが気にはなる。それでも、この作品は最近にないくらいメローディアスハードそのものの作品である。テラノバの1st、2ndに匹敵する名盤である。93点

□ BLANC FACES
 1985年のアルバム一枚で姿を消したFURYを率いたラ・ブランク兄弟による復帰作。TOTOとかルパートホルムズとの関わりもあったようで、内容的にはメロハというよりAORハードという感じである。メロディアスハード的なボーカルだし、サウンド的にも産業ロック的な感じである。1曲目などのイメージはジャーニーを小粒にした感じだろうか。ボーカルの声が、非常に耳障りがよく温かいのでAOR的に聞こえるのかもしれない。後、先週聞いたテラノバと違い音もしっかりしているのでボリュームを上げても気持ちよく聞こえる。ただ、全般に心地よい曲が続くのだが、これと言った曲がなく「これぞブランクフエイセズ」というイメージができなかった。91点

□ HEARTLAND/MOVE ON
 
2005年、彼らにとって通産9枚目の作品。ハートランドの作品は、全部聞いているわけではないが、イメージとしては「いかにもメロハ」である。多少癖のあるあるねちこいボーカルにメロディアスハードのつぼをえたフレーズ、コーラスのつけ方、キーボード、ギターのカッコいいアレンジ。この作品は、正にそのイメージどおりである。だから、非常に心地よく聴ける。一度聴いたときから「好きやな」って思うタイプのメロハである。しかし、逆に何回か聴いていると飽きてくる。聴くほど味が出るタイプではない。そこが、この作品のある意味欠点かもしれない。92点

□ NOCTURNAL RITES/GRAND ILLUSION
 10年目を迎えたスウェーデン産メタル・バンドの通算7作目。前評判では、ミドルテンポの曲が中心の正統派メタルとのことであったが、その通りかな。パワメタ特有の手数の多いセワシイドラムの音が耳に付くこともなく、非常に聴き易い。メロディーも結構哀愁味があって聴かせる。どの曲も、ハードなメローディアスなメタルである。ただ、私が普段聞く音楽としては少しハードすぎて、やはりストライクのど真ん中ではない。聴けないことはないが、好んで聴きたいと思うような音楽ではない。この走るギター、ドラムは私には疲れるかな。ボーカルだけ聞くと、ポップになった頃のレインボーを思い起こす曲もある。ボーカルさんは、結構上手で聴かせてくれる。91点

□ LOU GRAMM/LONG HARD LOOK
 フォリナーのボーカル、ルーグラムのソロ第2弾。LADY OR NOT以来の作品。1989年の作品である。フォリナーというモンスターバンドの中核は、何と言ってもルーグラムと言いたいところだけど、こうやってソロの作品を聴くとどうやらやはりミックジョーンズの方だったようだ。ミックも1989年にソロアルバムを出しているが、そちらの方が私的にはメロディーの質が高いように思う。ボーカルは、当然ルーグラムの方がいいのだが。本作品は、フォリナーというよりシャドーギャラリーの音と重なる。フォリナーは、もっとメロディーがシンプルであった。そのシンプルなメロディーに絶妙なアレンジで曲を作り上げている。そうした魅力は、ルーグラムの曲では再現できない。勿論、そういうことをするならソロ作品をつくる意味はない。ただ、BIG バンドのボーカルが独立してソロを作っても如何せんバンドと対比されるわけで、厳しい。この作品も、ボーカルの上手いいい曲がたくさん入った作品と言えるだろうが、フォリナーと比べるとあまりにもその差が大きすぎる。これは、ジャーニーでもスティックスでもボストンでも同じことだ。88点

□ IMPELLITTERI/CRUNCH
 インペリテリの6th。ロブロック在籍時最後のスタジオアルバム。ギター中心のヘビメタが好きな人ならFITするような作品である。基本的に早弾きギターに興味がないので、そんなものはどうでもいい。非常にシンプルな正統派メタルという印象である。ギターは、私にはあまりカッコイイとかなんとか思えない。何より、ロブロックのボーカルの方がいい。いろいろなバンドでボーカルを取っているがロブロックのボーカルは流石である。グラハムボネットなんかと比べると、申し訳ないが断然いい。インペリテリって、ロブロックあってのバンドである。このギターに負けないボーカルはそうそういない。個人的な好みからいうと、インペリテリはやはりギター中心過ぎる。
ロブのボーカルが生きるようなバラード系のナンバーをもう2曲ほど入れてほしかったな。FOREVER YOURSだけじゃ・・・。89点

□ KASHMYR
 1990年代の中ごろ、もうヘビメタ界はアンダーグランド的な状況だった。そんな中登場したのが本バンド カシミールである。ドイツのバンドであり、結構ベテランの集団である。で、中身であるが、玉石混交というのが私の印象である。妙にダークな雰囲気の曲があって,気だるさを感じさせるのが印象を下げる。それと6分を超える曲が4曲もあるのも私的にはマイナス。哀愁みがあると言うより、単なるダークな曲という感じであり、ポップな作品や産業ロック系、メロハとはちょっと違う。このちょっとしたずれが実は大きい。ドイツのバンドって不思議と、ちょっとずれたバンドが多い。84点