2006.9  review

□ NICK LACHEY/WHAT'S LEFT OF ME
 人気グループ=98(ディグリーズ)のメイン・ヴォーカリストとして活躍した経歴を持つニックのソロ作。ジェシカシンプソンとの別れで話題にもなった。98などどいうボーカルコーラスグループだろうか、そういうのを全く知らない私にとっては、今一ぴんと来ない。ただ、全般にわたって、バラード系の歌が続くのがちょっと閉口するが、美しいメロディーではある。ボーカルも下手ではない。こういう音楽が全米2位になるというのが私には理解できない。もっと、美しいカッコいい音楽はいくらでもある。メロハの世界には。これは全くの主観だ。さて、何回も聴いて、凄く実は気に入ったのだ。素敵な刹那系のメロディーに耳が馴染んだ。ただ、ストライクゾーンのど真ん中ではないのだ。どうしてなのか。一つは、キーボード系の装飾が少ないこと。もう一つは、ギターのソロで楽しめる曲ではないこと。この二つが不足しているので、最高にいいということにならない。でも、メロディーは本当に美しいし、ボーカルさん結構聞かせる。文句をつけつつも非常にいいと言わざるえない。93点

□ FM/DEAD MAN'S SHOES
 スティーブオバーランドのやりたかったのはこういう音楽だったのかって、つくづく思う。FMの1,2作はメロハの世界では、知らない人はいないくらい名盤の誉れ高い作品だ。そのFMと3作目以降の作品は(全部は聴いていないが、この作品で5枚目だと思う、私が聴いたのは)完璧に別世界の音楽をやっている。勿論、メロハ好きの私にしてみれば、3作目以降は守備範囲外である。がしかし、ボーカルのオーバーランドのボーカルは捨てがたいのだ。この作品なんかは、デビカバを少し思い起こさせる面もあるが、味があるボーカリストだ。ポールロジャース(BAD COMPANY)にも似ているような気がする。この作品は1曲目は、はっきり言ってパス。ところが、2曲目はAIN'T NO CURE FOR LOVEなどは素晴らしいメロハのナンバーである。断片的にアメリカンであり、ブリティッシュ的な風味もあり、どちらかというとウエストコーストを想起するような雰囲気がある。メロハとは一線を画す作品ではあるが、極端にブルージーな感じではないので楽しめる。90点

□ THE FRONT/ST
 カンサス州出身のハードロックバンド89年の作品のようだ。この類の音楽はよく分からない。少なくともメロハではない。少しダークな雰囲気があちこちに感じられるのは、この当時の潮流に関係あるのだろう。普通のロックなんだろうな。でも、トムペティーもボブシガーもスプリングスティーンもメロディーが良かったからビッグになったわけで、このレベルのメロディーではちょっと厳しいんじゃないかなと思う。まあ、好みの問題なわけで、こういう音楽が好きな人もおられるのだろう。普通の人にも親しめるようなメロディーがほしいかな。78点

□ CHESNEY HAWKES/GET THE PICTURE 
 チェズニーホークスの2nd。この人の1stは名盤だった。1stが良すぎると、次が大変。それを超える作品を期待されるからだ。本作はそういう意味からすると厳しい。1stを超えているかと言うと、NOと言わざるえない。しかし、ポップな曲が次々に流れてくる。聴き易いメロディアスなポップな曲でいいんだけど、音が少しボーカルを前面に出しすぎだな。ボーカルものというか、そういうところはが少し引っかかる。90点

□ MARK HARRIS/THE LINE BETWEEN THE TWO
 
CCM系ポップgroup、4HIMのMark Harrisの1st。しっとりとした曲、切なさのにじんだ曲のオンパレード。素敵なメロディーに、味のあるボーカルが乗る。非常に美しく綺麗な曲が次々に流れてくるので心地よく聴ける。特に、仕事や読書のバックに流すには適している。ただ、ドライブのお供には向いていないかな。難を言うと、バックの音が楽しめないと言うこと。ボーカルを前面に出しているので、バックの音は少し抑え目かな。それと、ギターやキーボードやドラムの音、演奏を楽しめる曲がない。ギターの泣き、ドラマチックな装飾のキーボード、かっこいいリズムの刻みなんてものをついつい求めてしまう。そういうことを求めず、綺麗なしっとりバラード系を求める方には最高のアルバムだろう。バラードは嫌いじゃないけど、真剣に聞くと、ここまでそればかりだと半分くらいでお腹いっぱいになる。仕事のBGMには最高。92点 

□ HAREM SCAREM/BIG BANG THEORY
 ハーレムスキャーレムの5th。今さらなんで5thなんて?って感じであるが、ポップになったハレスキャとの批評ってどういうの?という興味があったので聴いてみた。はっきり言って、ハレスキャには思い入れもないし、好みのバンドとも違う。1stは名盤だったと思うが、巷で絶賛されるムードスイングは私には今一だったし、そのあとのVOICE REASONは最悪だった。あれぐらい不快な曲は少ない。ディジーミジーリジーと双璧であった。さて、本作であるが、私にはちっともポップになったって感じはしない。非常に耳に馴染み易いメロディーの連続である。だから、すぐにメロを覚えてしまえる。そういう点から言うと、2ndのムードスイングよりこちらの方が聴き易い。ただ、やはり随所に少しだけ感じるダークさは、ボイスリーズンの影響だろうか。まあ、そうしたことは抜きにしても、普通のバンドならば上々のできの作品だと思う。ただ、ハレスキャとして考えると、もっとレベルの高いものを期待してしまうと言うこともあるかもしれない。92点

□ DEACON STREET U
 トミーデナンダーのプロジェクト作。AORハードの素晴らしい作品だと思うが、トミーデナンダーの作品と言うイメージを覆すほどの凄さはない。彼らしい安心した作品である。REDIO ACTIVEにしてもそうだが、総体的にいいけど、格別凄い曲もない。あと、ボーカルをたくさん起用しすぎである。もう少し絞ってもいいように思う。トーマスビクストロームのきょくがいいな。あと、1曲だけだけどスタンブッシュがリードボーカルを取っているが、彼のボーカルもいいな。NOVAKのボーカルは、ちょっとデナンダーと合わないような感じがする。ボーカルが違うと曲の雰囲気が変わるので、せめて2,3人に、できれば1人のボーカリストでつくった方がいいんじゃないかな。デナンダー関係の作品が好きな人なら十分に楽しめる作品である。93点